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もいる。

  • By janessa
  • On 21/10/2023
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もいる。

「おうっ、釜次郎じゃねぇか。あいかわらずぎらぎらしてやがるな。おおっと、篝火にちかづくんじゃねぇぞ。燃えちまったら、旅籠屋やこの近隣の家々に迷惑がかかっちまわぁ」

 さすがは江戸っ子である。歯に衣を着せようともしない。

 隣で蟻通が密かにふきだした。ってか、おれもふいてしまった。

「ったく叔父貴よ、健康新女性︳女子經痛11年 月經沒來就便秘 揭患子宮內膜異位症︳附醫生拆解 あいかわらずのハゲっぷりと口の悪さだな」

 そして、榎本も負けてはいない。

 それからやっと、榎本はおれたちとも挨拶をかわしてくれた。

「兼定、あいかわらずウォルフだねぇ」

 かれは、相棒に抱きついて挨拶した。

 ウォルフって、一瞬ドイツ語かと思った。そういえば、オランダ語もたしか狼のことをウォルフというはずである。

 ってか、相棒は狼じゃないし。

 まぁ、フツーの犬よりかは狼の遺伝子をより一層強く濃く継いではいるが。

 旅籠の玄関先でわいわい騒ぐのも迷惑きわまりない。というわけで、とりあえずはあがってもらうことにした。

 分宿しているとはいえ、各旅籠の部屋数はそうおおくはない。もちろんこの旅籠もそうおおくはない。

 それぞれが相部屋である。

 隊士たちは十畳くらいの部屋に七、八名おしこまれている。子どもらは、野村と蟻通と島田と同部屋である。

 そして、おれは副長と……

 松本は榎本と、ということになった。

 榎本も、どうせいまからほかの旅籠に移るつもりはないだろうし。

 副長の部屋に、俊春が夕餉を運んできた。旅籠のに、自分たちでテキトーにやるからといっていたからである。

 おれたちはすでに喰いおわっているが、副長と榎本はまだであろう。というわけで、俊春がちゃんとスタンバっていたわけである。

 その副長と榎本が遅い夕餉中に、ほかの旅籠にいる大鳥や中島たちがやってきた。

 安富は久吉と沢とともに馬たちを連れ、白石城にやっかいになっている。

 さすがに、数頭もの馬を連れて泊っていいという旅籠はない。

 この手配もまた、俊冬がやっていた。ゆえに「豊玉」と「宗匠」も、旅籠にくるまでに城によって安富に託してきたという。

「土方君、榎本君」

 大鳥は部屋に入ってくるなり副長にハグし、それから榎本の両掌を握ってぶんぶん上下に振った。

 副長も榎本も、飯やおかずを頬張ったままされるがままになっている。

 大鳥が副長と離れ離れになっていたのは数日である。だが、榎本とは何か月単位で会っていなかっただろう。

 なのに、副長にはハグ、榎本には握手というこの差はなんだ?

 大鳥さん、あんたどんだけ「副長LOVE」なんだ?

「やぁ、大鳥さん。あいかわらずちいせぇな」

 そして、榎本は超ストレートにマウントをとった。

 飯のおかわりがあってはと、廊下に控えている俊春の笑顔が凍りついた。その隣で控えている俊冬にいたっては、ドヤ顔でその様子を眺めている。

「ちいさいことはいいことだよ。そうだよね、ぽち?」

 大鳥は、なにゆえか俊春に謎解釈をおしつけた。

 俊春の笑顔が、よりいっそう凍りついた。

 ってか、みんないつの間にか俊冬と俊春のことを「ぽちたま」と呼ぶようになっている。

 その名前だけなら、のペットかマスコットキャラクターみたいだ。

 が、誠はぜんぜんちがう。

を送っていったことがある。

 本人に指名されたからである。

 おれだけではない。俊冬と俊春もである。

 為次郎は、が不自由なのである。

 とはいえ、かれはそうと思わせぬほど活発な人である。

 

 そのとき、かれは俊冬と俊春にいった。

『「バラガキ」にそっくりだ』、と。

 

「バラガキ」とは副長の餓鬼のがみえる』

 かれは、つづけてそのようにいった。

 さらにはこうもいっていたっけ。 

『自身の使命を果たすためにここにやってきた』

『その使命のために、死ぬんじゃないぞ。使命のさきもみてくれ。それで、あゆみつづけてくれ。それがすべてじゃないからな』

 おれ自身にいわれた言葉ではないのに、為次郎の言葉はいまでもはっきりと覚えている。

 すごい……

 為次郎は、俊冬と俊春の本質を見抜いていたわけだ。

 

 あのとき、めずらしく二人が動揺していたっけ。

 あれだけいいあてられたら、だれだってびびってしまう。動揺もしてしまうだろう。

 もしかして、副長が為次郎に真実を話したのであろうか。

 副長は、為次郎と姉の

 内に狼の遺伝子を継いでいるのである。まさしく、羊の皮をかぶった狼ってわけだ。

 そういえば、二人の姿が狼にみえるというファンタジーチックな錯覚を何度も抱いたが、錯覚ではなくそのまんまだったわけだ。 そういえば、近藤局長や副長の故郷によった際、副長の一番上の兄の

 

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