をわかっている。
- By janessa
- On 21/10/2023
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をわかっている。かような世のなかだ。死ぬかもしれないという覚悟もおぼろげにあった。そうなってもいたしかたがない、という諦念みたいなものもあった。だが、おまえはちがう。必死に助けようとしてくれた。覚悟も諦めもまったくなかった。そのことが、いまでもずっとあいつらを苦しめている。かっちゃんと源さんを護りきれなかった、とな」
返す言葉もない。なんの言葉も浮かんでこない。
副長のいうとおりであるがゆえに……。 子宮內膜異位症 しかし、それは近藤局長と井上が死んだということにたいしてである。かれらを責めるつもりは毛頭ない。
そもそも、そんな思いをもってもらいたくない。
かれらはベストどころか、フルパワー以上で尽くしてくれた。
非情なまでのと史実をどうにか回避するか、覆そうと必死に戦ってくれたのである。
そこではっとした。
このあと、最終局面でも最低最悪なと史実をどうにか回避するか、覆そうと必死に戦ってくれたのである。
そこではっとした。
このあと、最終局面でも最低最悪ながまちかまえている。
もしかして副長がいまこの話題をふってきたのは、それについて示唆したかったからであろうか。
それとも、かんがえすぎなのであろうか?
おれ自身、まだ混乱している。だから、いまはまだそれについてはふれたくない、というのが正直なところである。
「副長。そういえば、あのとき『気をつけろ主計っ、そいつは人斬りだっ!』って注意してくださいましたよね?みずしらずのおれにです。なにゆえ、その名を?まるで、その名を呼び慣れていて、自然に注意されたかのようでしたが」
ゆえに、不自然なことは承知で話題をそらしてしまった。
それが、いまのおれにできる最善の策だ。
もっとも、ずっと気にかかっていたことではある。
「なんだと?おれが?わからぬ。わからぬよ」
「わからぬって……。副長、ボケるにはまだが若すぎます。ってか、若年性アルツハイマーですか?兎に角、はっきりそうおっしゃったんです。その注意がなかったら、おれはいまごろここにいません。あの雨の夜、半次郎ちゃんに斬られて死んだでしょう。そもそも、あのとき襲っているのが史実でも名高い「幕末四大人斬り」の筆頭である「人斬り半次郎」で、斬られようとしているのが幕末の剣客集団新撰組の「鬼の副長」土方歳三だなんて、想像すらしていませんでした。の抗争だとばかり思っていましたから」
とぼける副長に、いっきにまくし立てていた。
「それに、あなたが主計と呼んだから、肇という名から主計にかえたんです」
「おいおい、かように責めてくれるな。おれは、ちゃんと事実をこたえただけだ。あのとき、なにゆえそう呼んだのか、いま思いだしてもわからぬのだ。だから、わからぬといったんだ」
副長がたちどまって体ごとこちらに向いた。
「奇妙な話だがな……。あのとき、その名が頭のなかに浮かんだ。なにゆえか、おまえの名がそう思えたんだ……」
副長は、マジなから助けたい。
もっとも、おれ一人だけではそんな神をも畏れぬだいそれたことは絶対にできない。
だが、おれには最高にして最強の親友たちがいる。
かれらとなら、できぬこともなしとげることができる。
これまでとおなじように。
決意をあらたにし、気合をいれなおした。
若松城にもどると、桑名少将が大手門のすぐちかくでまっていてくれた。ついでにといってはなんだが、大鳥もいる。
大鳥は副長のをみると、自分の隊の様子をみてくるといって去っていった。
うーん、桑名少将の相手になっていたというよりかは、副長目当てだったのかもしれない。
大鳥は、マジで副長に惚れているんだろう。
その大鳥の小柄な背を見送ってから、あらためて桑名少将にをむけた。
眼前にたたずむ桑名少将は、ひかえめに表現しても憔悴しきっている感がぱねぇ。
まだあどけなさの残るも体も、京で会ったとき以上にシャープになっている。
もしかすると、ホームグラウンドではない城で滞在したり、見ず知らずのおおくの人々と接したり対応したりするのにつかれているのかもしれない。
居心地が悪い、というのもあるだろう。
桑名少将は、おれたちが城内にはいってきたのに気がついた途端、一目散に駆けてきた。
そのうしろを、同行の桑名藩士たちがあわてて追いかけてくる。 桑名藩は、藩主が不在の間にさっさと恭順にかたむいてしまった。
反対派は、ことごとく粛清されてしまったのである。
つまり、桑名少将はなす術もなく自分が治める藩を追われてしまったわけである。
かれは京都所司代として守護職である兄を助け、それなりの成果をあげた。
その末路がこれである。かえるべき場所をうしない、そのほとんどを奪われてしまった。
「兼定」
副長やおれたちとの挨拶がすむと、桑名少将は相棒に抱きついた。
その行動は、兄である会津侯とまったくおなじである。
兄同様、かれもまた動物が大好きなのである。
それにしても、気の毒すぎる。
かれはまだ二十一歳とかそのあたりである。それこそ、現代なら大学生活を謳歌しつつ、就活にいそしむ
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