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自身、あるいはぼくらが

  • By janessa
  • On 21/10/2023
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自身、あるいはぼくらが、きみが思いだすまでに暗示をかけて忘れさせていた。きみは、昔の夢をみたことすら覚えていないことになる」

「なるほど」

 俊春の説明に、馬鹿みたいにおなじ言葉を繰り返してしまう。

「それで?おれが一番に疑問に思うことについて、とは?」

 おれ自身のことなのに、めっちゃ第三者的にきいてしまった。

 あまりにも現実味がなさすぎる。子宮內膜異位症 まるでTVやスクリーンやPCを通してこの場面を眺めているような、そんな錯覚を抱いてしまっている。

「ああ、そうだったね。きみが一番疑問に思うこととは……

 俊冬はそういいかけたが、口をとじてしまった。同時に、うしろを振り返った。

 俊春と相棒も、同様に振り返っている。

 つまり、まただれかがやってきたというわけだ。

「兼定ーっ!」

「ぽちたま先生っ!」

 なんてこった。

 丘をのぼってきたのは、市村と田村である。

 子どもたちだけで、ここまでやってきたというのか?

 この戦のまっただなかというのに、子どもたちだけでうろうろするなんて……

 大人たちは、かれらが城をでてゆくのに気がつかなかったのであろうか。

 副長の機嫌が悪くなるじゃないか。

「いったいなんだ?餓鬼どもだけで、ここまでやってきたというのか、ええっ?」

 案の定、副長が濃く深い皺を眉間にきざみつついった。

「あ、いえ。われわれが城をでる際、二人にみつかりまして。さる場所で軍議があるゆえ、城内でおとなしくまつようにときつくいいおいたのです」

 中島が慌てて弁解した。

「あ、そうだったのですか?『ぽにいるように』と、わたしもアテンションいたしました」

「利三郎。おまえ、なにゆえかようなことを申したのだ」

「えっ?島田先生、誠のことを申したまでです」

 島田の呆れかえっている感満載の問いに、野村は「それがなにか?」的に応じた。

は危険なのだ」

 野村は、尾形の「こいつは阿呆か?」っぽい口調のお咎めもなんのその、へらへら笑っている。それどころか体ごと子どもらの方へ向きなおり、掌を振りはじめた。

「だれかさんとは別の意味で手に負えぬ」

「はぁ?だれかさんって、だれのことなのです?」

 副長がおおきな溜息とともに吐きだしたそのつぶやきを、きき逃すがすはずもない。

 思わずツッコんでいた。

「なんだと?わざわざきくまでもなかろう。ったく、利三郎に主計。このは、まとめてほかの時代に旅してもらいたいくらいだ」

「な、なんてことを。利三郎は兎も角、おれがいなくなったら、いったいだれがツッコミを入れるんです?それに、いじりいびりいじめる相手がいなくなってしまったら、みなさんストレスたまりまくりですよ。そうなれば、を病んだり、脳や心臓の血管がきれたり詰まったりする可能性があるんです。とんでもないことになりますよ。ねぇ、法眼?」

「主計、おれにきくんじゃねぇよ」

 せっかく松本にふってみたのに、あっさりバッサリ拒否られてしまった。

 って、もめている間に、田村と市村がこちらに駆けてきた。

 かれらは雷を落とそうとまちかまえている副長の存在など、空気か透明人間かであるかのようにスルーし、あっという間に相棒と俊冬と俊春のまえにやってきた。

「兼定」

 まずは市村が、それから田村が相棒にさっと抱きついた。そして、間髪入れずに市村は俊冬に、田村は俊春に抱きついた。

 あ、あざとい。あざとすぎる。まるで、ツンデレにゃんこみたいである。

 しかも、また背が、背が伸びている?

 かれらの背がまた伸びているようにみえるのは、「うっ……

 俊冬がうめいた。かれのうめき声は、おれだけでなくほかのみんなにもきこえたはずである。

 俊冬のいまのうめき声は、市村に抱きつかれて感極まってでたものではないはずだ。

 背丈問題に気がつき、思わずうめき声をあげてしまったにちがいない。

『背丈を抜かされたかも』、という非情なまでの現実に、いやでも気づされたからであろう。

 ぶっちゃけ、市村のほうが俊冬よりもほんのちょっぴり高くなっているようにみえる。

 俊冬は、昨夜再会したときには気がつかなかったのだろうか。

 ああ、そうか。気がつかないふりをしたのかもしれないな。

 しかし、いまはがっつりハグをしている。

 気がつかないふりをするほうが、至難の業ってやつだ。

 い、いいや、ちょっとまって……

 ってことは、背の高さにおいて俊冬と五十歩百歩のおれも抜かされて……

 いやいや。いやいやいや、だ。

 おれは剣や竹刀や木刀を握っていないときには、猫背になっているかもしれない。背筋をしゃんとのばせば、市村や田村とおなじくらいになるだろう。

「すこし会わぬ間に、ずいぶんと背丈がのびたようだな?」

 そのとき、俊春がそんなことをいいだした。

 俊冬ではなく、俊春がである。

『えっ、いまごろそんなこときくの?何度も接触してるよね?気がついていないなんて、ありえないよね?』

 そんなふうにツッコみたくなってしまったのは、いうまでもない。

 しかも、かれのいまの声はビミョーに震えていたような気がする。

 俊春は、新撰組のメンバーのなかで『もっとも背が低い男』として認定された。

 新撰組が、学校の朝の全校集会や体育の授業などのように整列したとする。  

 そんなとき、たいてい「前へならえ」をする。

 俊春は、一番前で「腰に掌をあてる人」という栄誉をになうことになるわけである。

 いや、ちょっとまてよ。

 まさか遺伝子の関係で、じつはまだ成長段階なんて可能性はあるのか?これからさき、二メートルくらいまで背が伸びるっていうまさかの展開になるなんてことはあるのか?

 うわっ……

 俊春にめっちゃにらまれた。かれのかっこかわいい

「利三郎っ!かようなことを申せば、二人はきたがるにきまっているだろう?それでなくとも、ちたまと兼定と待ち合わせをしているのででかけてくる。ゆえに、おとなしく

 

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