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が門限破ったとか?

  • By janessa
  • On 13/01/2023
  • 0 comments

が門限破ったとか?」

原田はまさを見付け、話し掛けた。

「おばんどす。子らは家におりますよって。桜花はんが…」

桜花、と名前を聞くなり沖田が一歩踏み出す。

「桜花さんがどうかしたんですか?」 富途證券

「行き先も言わへんと、昼に出て行ってから戻ってこぉへんのどす」

心配そうなまさを他所に、原田はそれが分からないといった風に首を傾げた。

「まだ夜にもなってねえしなぁ…。アイツも市中に出たは良いものの、桜花の行きそうな場所なんて皆目見当も付かなかった。

だが、京にいることは間違いない。

柱に凭れてうたた寝をした時に、ある短い夢を見た。

京長屋が並ぶ近くの河原、月明かりだけが唯一の灯りという程に辺りは暗い。そこで桜花は涙を流しながら、刀を抜いていた。

もしもあれが本当なら、まだ間に合う。

しかし京長屋なんてそこら中にある。

『桜ちゃんな、怖い目ぇして大切な人に会いに行くって言うて出て行ったんや』

「大切な人…」

沖田は虚ろで何処か遠くを見るような目をした桜花の姿を思い出す。

あの目をした人を私は知っていた。思い出したくない昔の記憶の人もそうだった。

沖田は池田屋の方へ向かって走り出す。

洛東へ近付くにつれ、祇園囃子の音が耳に響いた。

「すみません、通して下さい」

時に人混みにぶつかり、

「桜花さ…!…あッ、人違いでした。申し訳ないです」

時に違う人に話し掛け、沖田は必死に捜索する。

やがて池田屋周囲に辿り着く頃には、陽は沈み闇が立ち込め始めていた。

手持ち行灯でも持ってくれば良かったと沖田は後悔し始めた。

暗闇で一人で捜索をするのは不可能に近い。沖田は近くの商家から借りることを決意し、祭りから帰宅したであろう家人へ話し掛けた。

「もし、いきなりすみません。後日お返ししますので、手持ち行灯をお借り出来ませんか。壬生の新撰組の沖田と申します」

「新撰組…」

男は露骨に嫌な顔を浮かべたが、その横にいる妻と思わしき女が手にしていた手持ち行灯を差し出す。

「これでええなら差し上げますよって。お前さま、新撰組は池田屋で気張ってくれはったんや。これくらいせんとバチが当たるで」

「有難うございます…!あの、ついでと言っては何ですが、十七くらいの二本差の女顔の人を見掛けませんでしたか」

沖田はそれを受け取り、そう質問した。もし池田屋周囲に来ていたのなら、目撃している可能性が高いと踏んだのである。

「ああ!昼間に話し掛けられましたえ。池田屋で何があったんか聞かれはったなぁ。えらい驚いた顔をしてはりました」

女の返答に、沖田は食いつくように前のめりになった。それは間違いなく桜花だと確信を得る。

「その人はどの方面に行ったか分かりますか?」

「えっと、木屋町通りを北に…。せやけど、すぐに青い顔をして戻ってきはって…。鴨川の方へ歩いていかれましたえ。あまりにもええ男はんやったから、つい見てしもうて…」

木屋町通りを北、ということは長州藩邸を目指したというのか。吉田稔麿が死んだ場所を確認しに向かったのだろうか。

「有難うございます、助かりました!」

沖田はそう言うと、鴨川の方へ駆け出した。

鴨川の東は花街である。流石にそこへ行くことはないだろう、と沖田は川沿いを南下した。

「ハァ、ハァ…ッ」

立ち止まり、汗を拭くために懐紙を取り出そうと懐に手を入れる。それと一緒に何かが下に落ちた。

屈んで行灯を近付けて見ると、それは返しそびれた

 

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